高揚、工房DNA

先日、取材でいか工芸さんへ。実はCOMMUNEのサインもいか工芸さんで製作いただきました。看板のデザインから製作・設置などを行う工藤さんのお話は、モノを自らの手でつくるという、デザイナーがなかなか味わうことのできない苦労や楽しみを感じると同時に、自分は向いているんではないかなぁと素直に感じました。何より看板製作の現場は、ものづくりのライブ感と職人の気で溢れていました。やけにネジが大きな機械や何に使うかわからない道具、どの工房にも共通する独特のにおいや埃っぽい空気感、重機も好きですが、工場・作業場も大好きです。厳密には好きというよりは、血が騒ぐというか、懐かしさを感じるというか、とにかくテンションが上がるのです。理由は故郷。陶芸の街、信楽に住んでいた小さい頃、それこそトトロの出てきそうな山奥で、山や川と同じく、父や職人さんのたくさんいる工房も自分の遊び場のひとつでした。父の工房には石膏でできた型、土を造形するためのいろんな種類のへらや土をカットする針金、色々な上薬や素焼きの作品など、自分にとってのお宝がたくさんありました。夏休みになると蝉の声と阪神のラジオ中継をBGMに、菊練りという粘土の空気を抜く作業やロクロを回す父の横で、自分は新たな発見をすべく片っ端から道具をひっくり返し、怪獣や城、よくわからない何かをせっせとつくっていました。そんな父の工房は、今回伺った工藤さんの工房と同じ、土のにおいと埃っぽい空気に光が差す光景がありました。もう何年も帰っていませんし、今年のお盆も帰れませんが、やはりふるさと、記憶は年々鮮明に、想いは強くなるばかりです。
by 上田 亮 from Sapporo